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Daisuke Kono

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ある夏の暑い日のこと、一人の旅人が歩いていると、道端(みちばた)に小さなお地蔵さんが一つ立っていました。さらに、道のずっと先の方にはそこからよく見えるぐらいの一本の大きな()が伸びていて、旅人はその大きく広がった枝の下が()(かげ)になっていると思い、そこまで歩いていってひと休みすることにしました。樹の近くからはせみの()き声がみんみんと(ひび)(わた)り、辺りを見渡すと、周辺の木々に(かく)れて落ちぶれてしまった()(おく)()(ごり)何軒(なんげん)か見えました。
 
「ここには昔、(しゅう)(らく)があったのか。」
 
旅人は言いました。しばらく休んでいると眠たくなってきたので、()(ころ)がって上の方に目をやると、()(かい)(おお)うほどの()(よう)とその(すき)()から見える()みきったあおい空が広がっていました。
 
「腹がへったなぁ。これで何か食べ物があればいいんだが。」
 
旅人は数日前からあまり食べ物を食べていませんでした。彼が首を後ろにそらすと、自分が背にした()には注連(しめ)(なわ)のようなものが()かれてあり、自分のすぐ横には小さな(ほこら)()っていることにも気が付きました。旅人はがばっと起き上がって、
 
「おっと、これは()神木(しんぼく)だったのか。上に(すわ)ったり寝転がったり…大変ばち当たりなことをしてしまったな。申し訳ない。それにしても太く(りっ)()()びた(みき)だ。まさに天まで届いているのではないだろうか。」
 
目の前にある大きな樹を見上げながらひとりごとを言うと、目をつむってパンパンと手を(おが)み合わせました。
 
「コトッ。」
 
すぐそばで小さな音がしたのでそっと目を開けてみると、(ほこら)の前にはさっきまではなかったはずのおむすびが2つ、置かれていたのでした。
 
  
おわり



(用語の解説)
注連(しめ)(なわ)神祭(しんさい)()の一つで、神社などの神聖(しんせい)な場所に張られる縄のこと。
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